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切創事故を防ぐための対策4つを徹底解説

工場などの製造現場では、切創事故が発生するリスクがあります。切創事故が発生すると、痛みでつらい思いをするのはもちろん、その後の作業に支障を来す原因にもなります。 切創事故が発生する原因は複数ありますので、しかるべき対策を講じて未然に事故のリスクを減らしましょう。今回は切創事故の概要と発生要因、主な事例、事故防止のための対策とともに、事故防止に役立つ耐切創手袋のおすすめ商品をご紹介します。

切創事故とは?

切創事故とは、切り傷(切創)をともなう事故のことです。 鋭利なものを握ったり、引っかけたりすると、皮膚が破けて痛みや出血が起こります。 切り傷といっても浅いものから深いものまでいろいろあり、とくに後者は出血も多量になることが多いため、早急な処置が必要になります。 また、切り傷からは雑菌が入り込みやすいため、放っておくと炎症を起こして化膿する危険性もあります。 切創事故は現場で最も起こりやすい事故のひとつで、厚生労働省が発表している「令和3年労働災害発生状況の分析等」によると、令和3年度に発生した死傷災害のうち、切創事故にあたる「切れ・こすれ」は7,638件に上っています。[注1] 休業などをともなわない軽度な切創事故も含めると、かなりの事故が発生していると推測されるため、日頃から切創事故の防止策を講じておくことが大切です。

[注1]厚生労働省:「令和3年労働災害発生状況の分析等」P22

切創事故が発生する要因

切創事故が発生する要因は複数あります。 発生原因をひととおりチェックし、現場ではどのようなことに気を付けなければならないのか、今一度確認しておきましょう。 ここでは切創事故が発生する主な要因を5つご紹介します。

不安定な場所や体勢で作業した

足元が悪い場所で作業を行うと、バランスを崩したときに手元が滑り、切創事故が起こる原因となります。 爪先立ちをしながらカッターナイフを使うなど、不安定な体勢で作業を行うと、同様の事故が起こりやすくなるので要注意です。

切れ味の悪い工具を使った

カッターナイフなどの刃は、長年使っていると刃こぼれやサビによって切れ味が悪くなることがあります。 よく切れない刃物を使うと、いつもより力を入れなければならないため、手元が狂いやすくなります。切れ味の悪い刃物でも、柔らかい皮膚は簡単に傷ついてしまうので、取り扱いには十分な注意が必要です。

工具などを誤って使った

工具などを本来の用途に適さない場面で使ったり、マニュアルを無視した方法で使用したりすると、切創事故が起こるリスクが高くなります。 たとえば電動の回転刃が完全に止まる前に刃に触れてしまった、カッターナイフの進行方向上に指を置いて作業したなどが挙げられます。 工具の使用方法は事前にマニュアルなどでチェックし、適切な手段で扱うことが大切です。

保護具を着用していない

鋭利なものを使用する際は、必ず手袋などの保護具を着用する必要があります。 保護具を着用せず、素手のまま作業すると、刃などが直接皮膚にあたり、切創を負うリスクが高くなります。

不適切な保護具を使用していた

保護具と一言にいっても、使われている素材や構造は製品によって異なります。 作業に適さない薄い生地のもの、あるいは耐切創性の低いものを使用した保護具の場合、鋭利な刃が貫通して皮膚を傷付けてしまうおそれがあります。

想定される切創事故例

切創事故はさまざまな産業で起こり得ます。ここでは想定される切創事故の具体的例をご紹介します。

カッターナイフによる切創事故

カッターナイフはオフィスから現場まで、幅広いシーンで用いられるツールです。 手軽に扱えるところが利点ですが、刃の部分は非常に鋭利なので、僅かにかすっただけでも切創事故が起こり得ます。 たとえば、空の段ボールを解体する際、切り込みを入れていたら刃がずれて添い手を傷付けてしまったり、カッターの進行方向に添い手を置いて作業していたら、勢い余って皮膚を切ってしまったり。 また、刃を出したまま放置していたカッターナイフに誤って触れてしまい、手を切ったという切創事故も想定されます。

作業環境によって起こった切創事故

自身では注意して作業していたつもりでも、作業環境によって切創事故が起こってしまうことも想定されます。 たとえば、素手でカッターナイフを使って作業していた際、他の人に突然話しかけられ、振り向いた際に誤って手を切ってしまったなど。 刃物を使って作業をしている人に話しかけるのは非常に危険な行為です。相手が刃物を使って作業をしているとわかったら、みだりに話しかけず、作業を終えてから話しかけましょう。 なお、この場合においては手袋を着用せずに作業をしていたことも切創事故の要因になります。 刃物を使って作業をする際は、必ず手袋を着用するよう心掛けましょう。

切創事故を防ぐための対策

切創事故を防ぐために実施したい対策を4つご紹介します。

安全な環境で作業する

切創事故の原因となる刃物などを取り扱う際は、安全な環境で作業することが大切です。 周囲に十分な作業スペースがあるか、作業時の姿勢が不安定になっていないか、作業台はしっかり固定されているかなど、作業環境の安全性を事前にチェックしておきましょう。

工具や機器のマニュアルをしっかり確認する

作業に工具や機器を利用する際は、事前にマニュアルや取り扱い説明書をきちんと確認しましょう。 マニュアルには工具や機器の正しい使用方法や注意書きなどが記載されていますので、よく熟読し、そのとおりに使用すれば切創事故のリスクを減らせます。 とくに注意事項に関しては、どのような使い方をしたら事故に繋がるのか、具体的な事例が記載されている場合が多いので、事故防止の参考になります。

工具や機器は日頃からきちんとメンテナンスしておく

工具や機器のメンテナンスを怠ると、作業効率が下がるだけでなく、切創事故が発生するリスクが高くなります。 刃物や鋭利な突起などがついている工具や機器は、日頃からきちんとメンテナンスし、正常に使える状態を維持しておきましょう。 なお、刃物を研磨する際は必ず手袋を着用することが大切です。

適切な保護具を着用する

素手で作業をすると、刃物がかすっただけでも切創事故が起こってしまいます。工具や機器を使用する際は必ず手袋を着用する習慣を付けましょう。なお、切創事故をしっかり防ぎたいのなら、耐切創手袋を利用するのがおすすめです。 耐切創手袋とは、その名のとおり切創を防止することに特化した手袋のことです。一般的な手袋とは素材や構造が異なっており、刃物などを簡単に通さない仕組みになっています。 耐切創手袋の性能は、耐切創試験の結果に基づいてレベル分けされています。 どの試験を実施しているかは製品によって異なりますが、今回は試験用刃物と試験片の間に一定の力を加え、試験用刃物が試料を貫通するまで水平方向に動く試験器を使った「TDM試験」についてご紹介します。

TDM試験はレベルA~レベルFの6段階評価となっており、Fが最高レベルとなります。 どのレベルの耐切創手袋を使用するかは、作業現場、取り扱う刃物の種類などによって異なりますが、なるべく耐切創レベルの高い手袋を着用したほうが安心です。 また、耐切創手袋の中には耐突き刺し性に長けたものもあります。 ガラスの破片やワイヤー、釘、金属片など、鋭利に尖ったものを扱う作業を行う場合は、耐切創性だけでなく、耐突刺し性もチェックするとよいでしょう。

切創事故防止に役立つ耐切創手袋おすすめ6選

切創事故の防止に役立つ耐切創手袋の中から、株式会社シモンのおすすめ耐切創手袋6つご紹介します。

CR-180耐切創手袋


メーカー:株式会社シモン
サイズ展開:S/M/L/LL
素材:HPPE、ナイロン、スチール、スパンデックス、ポリウレタン
耐切創レベル:C(EN ISO 13997 TDM試験による)
仕様:耐摩耗性・耐引き裂き性能に優れた耐切創手袋です。高い耐久性を持ちながら、18ゲージで編まれた生地は薄くて柔らかく、抜群の作業性を誇ります。水に濡れてもグリップ力が維持できるので、安全に作業できるところも特徴です。耐切創レベルはCです。
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CR-181耐切創手袋


メーカー:株式会社シモン
サイズ展開:S/M/L/LL/3L
素材:HPPE、ナイロン、スチール、スパンデックス、ポリウレタン
耐切創レベル:E(EN ISO 13997 TDM試験による)
仕様:耐切創レベルEの性能を誇る耐切創手袋です。切創事故をしっかり防止する機能を備えつつ、薄くて柔らかい素材で作業がしやすい仕組みになっています。サイズ展開も豊富なので自分にぴったり合った手袋を装着できます。
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CR-182耐切創手袋


メーカー:株式会社シモン
サイズ展開:S/M/L/LL/3L
素材:HPPE、ナイロン、スチール、スパンデックス、ニトリルゴム
耐切創レベル:E(EN ISO 13997 TDM試験による)
仕様:コーティング素材にニトリルゴムを採用した耐切創手袋です。ニトリルゴムは耐引き裂き性や耐突刺し性、耐摩耗性に優れているほか、耐油性も高いため、あらゆるリスクから手を保護してくれます。
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CR-191耐切創手袋


メーカー:株式会社シモン
サイズ展開:M/L/LL
素材:HPPE・ナイロン・スチール・スパンデックス
耐切創レベル:E(EN ISO 13997 TDM試験による)
仕様:耐切創レベルEの性能を誇る耐切創手袋です。あえてコーティングを施していないため、単体で使用するだけでなく、インナー手袋としても利用することができます。
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CR-301耐切創アームカバー


メーカー:株式会社シモン
サイズ展開:L
素材:HPPE、ポリエステル、スチール、スパンデックス
耐切創レベル:F(EN ISO 13997 TDM試験による)
仕様:手首から肘の上まで広範囲に保護してくれる耐切創アームカバーです。15ゲージ編みなので伸縮性に富んでおり、腕にぴったりフィットします。最高値の耐引き裂き性能を誇るため、腕をしっかり保護できます。
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KG-210耐切創手袋


メーカー:株式会社シモン
サイズ展開:S/M/L/LL/3L
素材:アラミド繊維、シリコン樹脂、ポリエステル、牛本革
耐切創レベル:E(EN ISO 13997 TDM試験による)
仕様:耐切創だけでなく耐突刺しに優れたアイテム。耐切創レベルE、耐突刺しレベル(1~4)は最高4の高性能な耐切創手袋です。動画でもわかるとおり、粉砕したガラス片や有刺鉄線を握ったり、鋭利な針を押し当てたりしても貫通しにくいため、手をしっかり保護してくれます。
※ミシン針で縫製した手袋であり、ミシン針、注射針などの先端の鋭いものは貫通します。
※耐突き刺しを重視した手袋ですが、突き刺さらないことを保証するものではありません。
※耐突刺しレベル:試験片に直径4.5㎜鉄鋼針(先端部1㎜を突き刺し、突き刺すのに要する強度(N)を測定
商品紹介動画はこちら(㈱シモン:メーカーサイト)
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作業前にきちんと下準備を行い、切創事故を防止しよう

切創事故は、鋭利なものを扱う際、誰にでも起こり得る事故です。 とくに、作業環境が悪いときや正しい方法で工具を使用しなかった場合、保護具を着用せずに作業をした場合などは、切創事故が起こるリスクが高くなります。 切創事故を起こすと、その後の作業に支障を来したり、場合によっては外科的な施術が必要になったりすることもあります。 作業を行う際は、周囲の環境が安全かどうか確認する、工具や機器の正しい扱い方をチェックする、保護具をきちんと装着するなど、しっかり下準備を整えることを心掛けましょう。 保護具に関しては一般的な軍手などでは刃物を通してしまう可能性がありますので、耐切創性や耐突刺し性に優れた耐切創手袋を着用するのがおすすめです。 今回ご紹介した6つの耐切創手袋は、耐切創レベルが高く、鋭利な刃物などを使う作業に適したアイテムです。作業もしやすいので、切創事故対策にぜひ利用を検討してみましょう。

※耐切創性手袋は絶対切れない素材、手袋ではありません。又切れにくい素材ですが、扱う製品により条件が異なります。 切創事故を防ぐための対策をしっかり行ったうえでご使用ください。
※回転体に手が巻きこまれるおそれがあるときは、手袋を使用しないでください。